6. 部会・研究会アニュアルレポート
ファインケミカルズ合成触媒研究会
1.研究会の目的
原子・分子レベルで精密に制御した物質は、分子デバイスをはじめとする新規な機能性材
料の創製に必須であり、この高効率な合成手法の開発の重要性は、今後ますます高くなると
考えられる。本研究会の活動は、従来の固体触媒、均一系錯体触媒のみならず生体触媒や有
機分子触媒も対象とし、精密有機合成化学から触媒化学・プロセス化学にわたる幅広い分野
の研究者が交流を深め、情報交換する場として機能し、ファインケミカルズの高効率かつ環
境負荷の小さい合成に有効な新しい触媒系の構築ならびに触媒プロセスの開発に役立てるこ
とを目的としている。本研究会は1987年に発足し、現在、以下の方針に従って活動している。
1) ファインケミカルズ合成(製造)用触媒の開発や、環境に適合する触媒反応・プロセスの
開発・研究(グリーン・サステイナブルケミストリー)を推進する。
2) 固体触媒、錯体触媒の他、生体触媒、有機分子触媒の活用にも注目する。
3) ファインケミカルズを特定せず、小さな分子から大きな分子までを研究対象化合物とする。
4) 産学官の研究教育機関に所属する研究者の交流の場を多く設け、情報交換をはかる。
5) 研究会独自の発表・講演の機会を設け、特に企業側からの研究発表・情報発信を積極的に
促す。
6) International Symposium on Catalysis and Fine Chemicals (C&FC) を定期的に開催・参加し、国
際交流に努める。これまで第1回のC&FC2001(早稲田大学、主催)から、C&FC2004(香港、
香港理工大学)、C&FC2007(シンガポール、南洋理工大学)、C&FC2009(韓国、高麗大学)、
C&FC2011(奈良県新公会堂、主催)、C&FC2013(北京、中国人民大学)、C&FC2016(台北、
福華国際文教会館)を継続的に開催し、本会議のアジア地区での地位の確立と今後の国際交
流・連携体制の基盤づくりを進めている。
以上の活動を通じ、ファインケミカルズ合成化学産業のプロセスイノベーションとマテリ
アルイノベーションを支える触媒化学の展開に貢献する。
2.研究会活動の概略(敬称略)
(1)2017年度ファインケミカルズ合成触媒研究会セミナー
「ファインケミカルズ合成触媒の現在と新しいアプローチ」
主催 触媒学会(ファインケミカルズ合成触媒研究会)
日時 2017年6月24日(土)10時30分~16時15分(参加者33名)
会場 大阪大学大学院基礎工学研究科 国際棟セミナー室(豊中市待兼山町1-3)
1) 「中空シリカをプラットフォームとしたナノ構造酸化・還元触媒の設計」
(大阪大学大学院工学研究科))桑原泰隆 氏
2) 「加水分解酵素-オキソ金属-多孔質材料の触媒集積化による不斉合成」
(大阪大学大学院薬学研究科)赤井周司 氏
3) 「金属クラスター触媒の精密合成とその触媒作用」
(東京大学大学院理学系研究科))山添誠司 氏
4) 「芳香族化合物の触媒的酸化カップリング反応 -ビフェニル誘導体製造の工業化例-」
第三編 触媒学会活動記録
5) 「ファインバブルフロー有機合成:使える技術にするために」
(静岡大学大学院総合科学技術研究科)間瀬 暢之 氏
(2)第119回触媒討論会(首都大学東京)のセッション参加(2017年3月20〜23日)
一般講演(ポスター2件)
特別企画「医薬品精密製造プロセスに貢献する触媒化学」の開催に協力。
(3)第120回触媒討論会(愛媛大学)のセッション参加(2017年9月12〜14日)
依頼講演2件
「固体触媒を活用するファインケミカルズの連続・連結フロー合成」(東京大)石谷暖郎氏
「非可食性バイオマスから生産可能なモノマーを原料とするバイオベースアクリル樹脂の
合成と物性評価」(理研)竹中康将氏
一般講演31件 (A1講演25件、A2講演2件、ポスター4件)
3.世話人代表
水垣共雄 大阪大学 大学院基礎工学研究科 物質創成専攻 化学工学領域
〒560-8531 大阪府豊中市待兼山町1-3
TEL: 06-6850-6263 FAX: 06-6850-6263 E-mail: [email protected]
4.最近のトピックス(敬称略)
定例のセミナー(6 月)では、桑原泰隆先生(阪大工)から中空シリカを基盤とする新規ナノ構
造触媒による酸化・還元反応に関して、赤井周司先生(阪大薬)から固体触媒と酵素を用い
る集積型触媒系と不斉合成への展開について最新の研究成果を交えてご講演頂いた。山添誠
司先生(東大理)からは、機能性材料として、今後のファインケミカルズの一端を担うと期待さ
れる金属クラスターの精密合成法と触媒機能、分析法にいたるお話を頂いた。辻哲郎先生(宇
部興産)には、触媒的酸化カップリングによるビフェニル誘導体を例に、ファインケミカル
ズ製造プロセスの工業化例を紹介して頂いた。また、間瀬暢之先生(静岡大)からは、近年、
ファインケミカルズ合成プロセスの重要な課題であるフロー合成に関連して、ファインバブ
ルフロー合成について御講演を頂いた。いずれの講演においても参加者と講演者間だけでな
く、講演者間同士の活発なディスカッションも行われた。
9月の触媒討論会では、石谷暖郎先生(東大)から固体触媒を用いたフロー合成について、
竹中康将先生(理研)には、非可食バイオマスからの化学品合成に関してそれぞれ興味深い
御講演を頂いた。セミナーならびに討論会セッション発表、特別企画では、これまでのファ
インケミカルズ合成触媒開発に加えて、これからのファインケミカルズ合成の重要な手法と
なるフロー合成を取扱うことで、有益な情報を得ると同時に均一系触媒と不均一系触媒、生
体触媒の研究者、産官学の研究者の情報交換を促進できたと考えている。
また、当研究会が主催する国際会議であるC&FCについては、次回、第8回の開催(2018年
12月10-14日、バンコク チュラロンコン大学)に向けて準備を進めている。
当研究会のホームページを整備し、セミナーや討論会セッション、C&FC2018 等の案内を